+

このページは邪念により運営されています。

私の、鷹梁ミナトの解法(SSS6話について感想)

6話のストーリーにかなり好意的です。
ただの感想(・解釈)であり、解説ではないから、語尾に全部「と思う」を付けて読んで下さいね。(真に受けないでね。)
キャラクターの解釈に正しさなんてないし、それは、ファンであっても公式のスタッフであっても、きっと同じ。
甲も乙も、いい悪いも、上も下もない。


鷹梁ミナトは、周りの才能を見つける天才であるが、自分の才能については猜疑的だ

◆天の星と地上の星
果たして、ミナト以外のエーデルローズ生は、天の星なのか?多分、そうであって、そうではない。
ミナトにとって、他のエーデルローズ生は才能に溢れており、まさに天に浮かぶ星なのだろう。けれどそれはあくまでミナトの主観であり、全てではない。
ミナトから見れば彼らは天の星、けれど、例えば仁からすれば、エーデルローズ生など目の上のたんこぶでしかないのかも知れない。
sssのキービジュアルのエーデルローズ新入生は、みんなで揃って星を見上げている。そして、OPでは全員で宇宙へと羽ばたくのだ。

地上の星はプリズムスタァ(キング)になれないのか
地球にある星と宇宙にある星に、何の変わりがあるのだろう。プリズムスタァは恒星ではない、心が星のように煌めく一個人であり、心のきらめきでジャンプを跳ぶ。
自分が最も輝ける場所は自分で決めたらいい、空でも地上でも、港でも海でも。誰よりも強く輝いた者が、最高峰のスタァになる。夜空をかき消した太陽光線のように、ミナトの輝きは無限に広がる。空でも、地上でも、本当は何も変わりがない。
また、星だけがこの世で偉大な存在である訳は無い。

◆平凡
ミナトは平凡と言い切れない程、様々な才能を持っている。でも、ミナトにとって自分自身はきっとそうではない。
両親はミナトの才能を沢山知っているだろう。でもそれを説いた所で、ミナトが納得しないのも何となく察している。
君には才能がある!そう言うのは私にだってできる、でも、ミナトがうまく飲み込める形でそれを伝えられるのは、この両親だけだった。
地上の星、皆の集まる灯台、両親の言葉を咀嚼して、ミナトはプリズムジャンプを跳び、自己ベストを更新した。

◆家族
ミナトは家族想いだけれど、家族の事を好いているのか、ずっと疑問だった。6話を受けて、ミナトにとって家族とは、好きだけれど少し距離を置きたい、そう感じてしまう存在なのだろうと感じた。
ミナトは帰省して静岡にいる間、よく、困ったように笑っていた。静岡にいたままだったら、「港でなければ」「あんちゃんでなければ」という義務感で生きていたのかも知れない。それはあまりに辛すぎる。家族の事は好きだけれど、ずっと息苦しかったのだ。

◆翼
ミナトがただ漠然と家族と離れたいと思っているなら、あまりにも冷たい風に感じる人もいるかも知れない。ミナトに想いを寄せる翼は、ミナトの置かれていた環境が、普通とは少し違うと思わせるには十分であった。
ミナトは、翼が自分に特別な想いを寄せている事に、気づいているかは分からない(私は気づいていると思う)。ただ、具体的に気がついていないまでも、どこか居心地の悪さを感じるには十分なくらいには、違和感を感じていただろう。

◆潮
潮にとってミナトはきっと、天に輝く星だ。
翼に想いを寄せる潮からすれば、ミナトは越えたい相手である。一方で、何があってもミナトには敵わないと、心の何処かで思っていた。
ミナトは、料理が出来て、優しくて、家族に好かれていて。潮はそういうミナトの事が羨ましくて仕方がない、そして、そんな兄の事が好きなのだ。

◆プリズムショー
ミナトはどうしてプリズムスタァになりたかったのか。これは、ミナトが家族をどう思っているのか、に次ぐ大きな疑問の一つだった。
sssで明かされた過去では、ミナトはコウジのショーに圧巻され、その様子を見ていた母に背中を押され、エーデルローズの門を叩きプリズムスタァになった。
シュワルツローズの引き抜きに応じなかった人間は皆、憧れのプリズムスタァのきらめきに惹かれてエーデルローズに入った子ばかりだ。シュワルツローズのように、完璧なショーをする事が目的ではないのだろう。(完璧なショーがいいか悪いかという問題は、ここには存在しない。)
プリズムショーに自分が出会った時の心のきらめきを、感動を、自分でも人に感じさせる事ができれば。そのような思いでショーをしているように思う。点数も順位も本当は、二の次なのかも知れない、しかし同時に、プリズムショーはそういう競技でもある。
プリズムキングとは到達点でなく、自分のきらめきを追い求めた先にあるものなのかも知れない。

◆羽衣
ミナトは天女である。
子は皆、天からの授かりもの。親の所有物ではない。
羽衣伝説には地方により様々な言い伝えがある。天に帰る為の羽衣を奪われた天女が、人間の妻や養女になる事もあれば、羽衣を取り戻し天へと帰る事も、帰れず人里で暮らす事もある。不定形なのだ。(バレエで有名な白鳥の湖も、羽衣伝説が元とされる。)
ミナトは、両親から「自分のやりたい事をやりなさい」と手渡さたた羽衣を、ずっと自分で隠していた。家族と離れがたく、また、天に羽ばたく為の美しい舞を舞えるのか怖くもあり。
ミナトの居場所はいつでもここにはある、帰ってきたっていいのだとする、両親の言葉を受けて、ミナトは羽衣を手に取り、ようやく天に昇る舞を踊った。それは別れの舞ではなく、行き来自由なのだ。
そうして大海へと繰り出したミナトは、やがて宇宙まで到達する。

◆エーデルローズ寮
ミナトがいなくても、ミナトが築き上げてきた"場"は確かにあり続けた。ミナトがいなくても、他のエーデルローズ寮生はすぐに新寮で生活したりはしなかった。
以前雑誌でシンは、洗濯物を畳まなかった時にミナトに怒られた話をしていた。6話の最後に、シンクに洗い物が放置されていたのも多分凄く怒ったと思う。(しかも、タイガはトイレットペーパーの在庫の場所が分からないし、チャイムに誰も出ない。)
(ただ、ミナトがあの日自らのカレーを捨てたシンクに、空っぽのお皿が詰まっていた事は、私からすれば、何だか少し微笑ましくもあった。)
ミナトが静岡に帰る前、みんなはミナトが色々してくれるのを当たり前に感じ始めていて、感謝の心も薄れていたのだろう。ミナトも、コウジのカレーに勝てなかった事で、自分の料理について自信を無くしていた。「ほかのメンバーと違い才能に恵まれていないけれど、アシストはできる」と発言していたミナトの事だから、料理でもみんなを悦ばせられない現状は、まるで自分の居場所が無いように感じていたのかも知れない。
ミナトにとって、両親の与えてくれた"帰る場所"は心の支えであった。
エーデルローズ生の為に、ミナトが、時に献身的に、時に皆を叱り守ってきたホームは、確かにあの場所にあり続けたのだ。

◆総括
ミナトは、誰かにとっては天の星であり、また地上の星であり、灯台であり港であり大海の船であり地球であり地球を抱く宇宙であり、けれど、本当にあるのはただ一人、鷹梁ミナトだ。
それはミナト以外にも言える事である。

こんなに長文を書いておきながら、ミナト編について私は、よく理解していない部分が沢山ある。(未だに私はミナトの両親がミナトに諭した事を理解しきれてないし、鰻の下りも不可解な点が多いし、プリズムジャンプについては「凄かった!(終)」、学が無いから歴史や神話などとモチーフの元は調べなければ分からない)けれど、それでもいいのだと思う。

人は皆、同じ事を考えて同じ知識を持っている訳ではない。私の思った事に同意する人もいれば、反感を抱く人もいるだろう。そうして少しずつ補い合い、お互いの意見を分かち合って、自分だけの想いに到達する事ができれば、それで十分だ。少なくとも私はそう思う。
地上にも天にも、誰もが納得できる言葉なんてどこにもない。これからも、現れる事はない。